バリアフリーといえば、住宅の内部の浴室やトイレを思い浮かべますが、住宅の外部にあたる外装や外構をバリアフリー化することも大切です。住宅の建物は1階でも外部のアプローチから数十センチの高さがあります。その高さは障害がある方や足腰が弱くなった高齢者には障壁（バリア）です。そのような住宅外部のバリアフリーについて詳しく紹介します。
1.バリアフリーについて
「バリアフリー」の「バリア」は、英語で障壁（かべ）の意味です。バリアフリーとは、誰もが日常生活の中で不便を感じる障害を取り去り、自由に活動をできるよう障壁になっているバリアをフリーにすること、つまり障壁をなくすことです。 バリアフリーはもともと建築用語でした。
バリアフリーは道路や構造物の入口の段差など、「物理的なバリア＝障壁」の除去という意味で使われてきました。しかし、現在は障害のある方や高齢者まで、あらゆる方々の社会参加を困難にしている、「すべてのバリア＝障壁」の除去という意味で用いられるようになりました。
1-1. 住宅のバリアフリーは段差の解消が重要
「バリアフリー」は、障害者や高齢者が生活していくさいに、障壁となるものを取り除き、誰もがみんな暮らしやすい社会環境を整備するという考え方です。その趣旨から住宅については室内の段差を無くし、階段などに手すりを付け、浴室やトイレも高齢者が使いやすいようにリフォームすることが住宅のバリアフリーです。また、住宅の外装や外部でも階段を無くし、スロープにすることやスロープに手すりを取り付けるなど、車椅子や足腰の弱った方も生活ができる環境確保のリフォームもバリアフリーになります。
2. 外装とは
「外装（がいそう）」は、建物の外側から見える装飾や施設を指します。具体的には、外壁や屋根などです。外装は建物の外観を決定づけるものであり、外装を自分が好む柄やデザインにすることで、自分ならではのマイホームが演出できます。また、外装は建物を守る重要な機能があります。
住宅を強風から護り、雨の浸入を防ぎ、外部からの火災による延焼も防ぐのです。さらに、外気の熱や寒さを和らげる機能も備えているのです。 外装は常に外気や日光にさらされながら、長期間にわたって建物本体を保護しています。そのため、住宅本体を長期間安全に使用するために、定期的なメンテナンスが重要です。
3. 外構のバリアフリー
外装は建物の外側ですが、住宅の外部の部分でバリアフリーの対象になるのが、外構といわれる部分です。
外構は門扉や玄関に、門扉から玄関位続くスロープなどで、構造によっては、高齢者や障害のある方はスムーズに動けないものもあります。この章では、外構のなかからバリアフリーリフォームがおすすめの玄関やアプローチを紹介します。
3-1. アプローチのバリアフリー
外構部分をバリアフリーにするためには、またぐ場所や、滑りやすい場所をなくすことです。足腰が弱い高齢者は階段などの段差をはじめ、アプローチ部分などに細かい段差があるだけで、転倒の危険性が高まります。まず、階段をスロープにしましょう。足腰の弱い方には2、3段でも、階段の昇り降りはたいへんな重労働になることがあります。また、車椅子に乗る方にとって階段は登れません。階段からスロープへの変更は重要なリフォームです。
3-2. スロープの素材
バリアフリーでスロープを設置するさいは、使用する建材が限られます。車椅子でも滑らず、安心して移動できるようなアスファルトや、滑り防止処理をしたコンクリートに、コンクリートがかみ合うような形のインナーロッキングなどがスロープに適した素材です。
3-3. スロープの角度が重要
屋外のスロープは基準角度「1/15」とされています。また、玄関と高低差が大きな場合は基準角度を確保するために、スロープ部分が長くなります。折り返しを付けて玄関先のスペースをうまく利用しましょう。
3-4. スロープの幅を確保
バリアフリーのスロープでは、幅に関する基準もあります。スロープを設置する場合は最低でも幅1.2mを目途にしましょう。歩行者だけでなく、車椅子を利用する方も通りやすくなります。
3-5. 手すりを設置
スロープを設置するさいには、手すりの設置も行いましょう。高齢者や足腰の弱い方にとってわずかな傾斜でも、歩行の障害になるケースがあり、手すりがあれば歩行するときに転倒防止になります。
4. まとめ
バリアフリーは健康なときから施工することがおすすめです。現在は利用する予定が無くても、急にバリアフリー工事が必要になることもあり得ます。バリアフリー工事は、すぐに取りかかれません。バリアフリー工事はできるときに実施しましょう。
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